• 布施谷貞雄の演出事務所です。世界50数ケ国以上の文化交流公演で世界のArtestと出会い、現地に降り立ち共感してきました。日本文化の発信にも取り組んでいます。

風流踊~鬼剣舞

鬼剣舞は2020年ユネスコ無形文化遺産として登録申請された「風流踊」の1つです。
岩手県内で最も知られている芸能が北上市周辺に伝わる「鬼剣舞」です。
太刀や扇を使い、勇壮に、ときに華麗に踊る「鬼剣舞」は完成度が高く、日本を代表する庶民の芸術作品です。
「鬼剣舞」は正式には「念仏剣舞」の一つとですが、鬼の面をつけて踊るところから「鬼剣舞」と呼ばれます。しかし、この鬼は、悪霊を払い幸福を呼びよせる<仏の化身>とされているため、この面に角はありません。鬼と言えば<桃太郎の鬼退治>など<悪の象徴>とされますが面白いですね。この鬼は<仏の化身>つまり<善鬼>なんです。


踊りは演目によって1名、3名、8人で踊ります。
踊り手の1人が白面、ほかの7人は青・赤・黒の『阿』『吽』の面をそれぞれつけます。
この4色は四季・方位を示し悪魔を降伏させ人々を救済する「仏(明王)」を表わしています。
これにカッカタ(道化面)、晴衣の少年(または少女)の胴取りが付属する場合があります。カッカタは大日如来(不動明王)の化身で黄色の面をつけます。
囃子は太鼓1人、手平鉦(てびらがね)1人、笛2~4人の構成です。
踊りが激しいので、大方は踊りを卒業した先輩が囃子方に回る事が多いと聞きます。
踊りの心を知る人が囃子を務めるので、その一体感が特別なエネルギーになっている感じがします。
現在、北上市を中心に、12団体があると言われますが、岩崎鬼剣舞と滑田鬼剣舞は国指定重要無形民俗文化財に指定されています。
北上の他、札幌、新潟、東京、京都にも愛好家の団体があると聞きます。

鬼剣舞の起源

大宝年間(701~704年)に修験の祖・役の行者小角が念仏を広めるために、念仏を唱えながら踊ったのが始まりという説や、大同年間(806~810年)に羽黒山の法印・善行院荒沢鬼渡大明神で悪霊退散・衆生済度の念仏踊りとして伝えられた等の諸説があります。
江戸時代の文献に鬼剣舞の名前があると言われますから、500年近く踊り継がれていると言っても過言ではないと思います。
蝦夷(えみし)の地と呼ばれた東北の地で御霊(おんりょう)となって亡くなった人々の霊を慰霊すると同時に、大地にその怨と苦を封じ込めて、神となってもらうための儀式舞でもあります。装束も大変ユニークです。
<金剛杵>は古代インドの武器で、密教では煩悩を破る菩提心の表象として用いました。

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鬼剣舞の鬼は義経の化身?

鬼剣舞が胸に<笹りんどう>の紋を付けて踊る事から、判官贔屓の地元ともいうべき岩手では、鬼剣舞の鬼とは源義経その人であるとの説もあります。
義経亡き後、平泉に夜な夜な義経主従の怨霊が、高館の周辺を徘徊したという伝承が、人々が義経主従の怨霊を鎮めるために、胸に源氏の紋である<笹りんどう>をつけ剣舞を踊った、という説です。

江戸時代の民俗学の祖の菅江真澄の記述によると。

「けんばいは剣舞(けんまい)が訛ったものである。この剣舞は、厳(いか)めしい仮面を付け、袴(はかま)を履き、襷(たすき)をし、髪を振り乱して、軍扇を持ち、太刀をはき、剣を抜いて舞う芸能である。この剣舞を、高館物化(たかだちもつけ)と云うらしい。それはむかし、高館落城の後に、様々な亡霊が現れし中に、特に怖ろしいものが現れたので、その荒ぶる亡き魂を弔おうとして、物の怪の姿に身を飾って念仏を唱(うた)いながら、盂蘭盆会(うらぼんえ)ごとに舞ったのが始まりとされる。これは少し質は違うが、遠江ノ国(静岡)の才が谷(ガケ)の念仏盆供養と同じである。それが男の子たちの春遊びになったというのも不思議なことである。」
<菅江真澄全集第12巻かすむこまがた続ヨリ
1785.2.14 胆沢郡徳岡の段 現代語訳佐藤>
鬼剣舞は「念仏剣舞」とも云われます。鬼剣舞に通底する哀音と力強い舞は人間の「苦」を一身に引き受けて亡くなった郷土の英雄たちを讃え、偲ぶ祀り事でした。
それがいつの間には、盂蘭盆会の時の人々の密かな楽しみとなり、また自らのアイデンティティ確認の舞となったとも言えます。

みちのく芸能祭り

岩手県北上市で毎年8月の第1土曜日から3日間実施される祭り。
「東北六大まつり」の1つとされる場合もあります。
北上市周辺に伝わる伝統芸能である鬼剣舞を中心に、神楽、鹿踊り、虎舞など100組を超す団体が出演し市内各所で演舞を披露されます。
1962年に始まったと言われる祭りですが、篝火に照らされる鬼剣舞の大群舞は、息をのむばかり、別世界です。


2010(H22)年から、文化庁の「地域伝統文化総合活性化事業」に採択され、毎年11月に「秋の子どもみちのく芸能まつり」が開催されるようになり、継承活動は一層活発になりました。

海外で絶賛 鬼剣舞

民族舞踊聚NIPPONは完成度高い、庶民の芸術作品とも言われる鬼剣舞を舞踊作品として創作しご紹介しています。

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